置いておいて

オタクの雑記です

サイバーパンク エッジランナーズの感想※ネタバレ有

サイバーパンクって何故こうも心惹かれるんですかね。

最近Netflixと契約を交わし、ようやくサイバーパンク エッジランナーズを観たので、感想を。
この記事では結構批判的なことを述べるつもりです。先に述べるべき結論として、僕はサイバーパンク エッジランナーズ(以後CEと記載)の脚本があまり好きじゃない。でも魅力のある作品なので、好きな部分についてもしっかり述べるつもりです。
※タイトルにも記載していますが思いっきりネタバレします


まず主張したいのが、僕はCEの終わり方をバッドエンドだと思っています。僕の考えているバッドエンドの定義は、メインキャラ(主に主人公)の得たものよりも失ったものの方が多い状態で話が終わることです。
得たものと失ったものの詳細については、単純に命や手足などの明示的なものと、トラウマの払拭や人間関係、意志などの暗示的なものがあると考えています。僕個人の価値観だけではなく主人公の価値観を考慮に入れて得失の計算をする場合もあり、それなりにブレる基準ではあります。
CEで主人公=デイビッドが失ったものはいくつもあると思っています。家族、普通に就職していたかもしれない未来、仲間5人の命、人間性、命(生身の体に関しては交換してナンボみたいなところがあるので一応ノーカウントとします)。そして最終的に得たのは仲間2人(内1人恋人)の命。そもそもこの物語でデイビッドが最終目標にしていたのってなんだっけという話になりますが、僕はルーシーと2人で月に行くことだと考えていました。でもデイビッドはメインの意思を継ぐことに執心していたような気がしていて、それについて納得のいく説明がなされていなかったように思えます。結構な人数のキャラがいて、この世界観の中で10話だけでそれぞれの関係を掘り下げて話を畳むって至難の業だと思うので、仕方のないことではあるのですが、デイビッドの心情や行動にあまり説得力を感じませんでした。共感できなかったというか。
だから本当にデイビッドが選ぶべきだったのは正気を失くしてまで身体を強化することじゃなくて、無理のない範囲で仕事を淡々とこなしながら月に行くための貯金をして、ルーシーと2人で月に行くことだったんじゃないかなと思ってしまい、どうしてもデイビッドの選択では失ったものの方が多過ぎるような印象を受けてしまいました。アニメとして後者の方が明らかに盛り上がらない気はしますが、だからこそ、お話の盛り上がりを優先し過ぎてデイビッドの行動原理に説得力がなくなっちゃったんじゃないの〜?と思っています。あとなんならルーシーはもはや月に行くとかにこだわってなくて、デイビッドが生きていることの方が圧倒的に大事だったと思うので、そういう2人のすれ違いが解消しないまま終わったのも嫌だなあと。

なおかつデイビッドは他者の思惑に操られまくった結果おかしくなるまでサイバーウェアをインストールする羽目になっており、最終的に殺されています。ただ、普通に生きていたとしてもサイバースケルトン適合者としての素質があるのでどう足掻いても巻き込まれていた可能性は高いと思いますが‪…‬‪…‬。

改めてCEがバッドエンドという話ですが、上記の通り普通に生きていてもバッドエンドに向かってそうというか、その点まだ自分で結末を選んだようには見えるのですが、それにしてはデイビッドの死に他者の意思が介在し過ぎている感が拭えず、自分で選んでサイバースケルトンをインストールしてルーシー(とファルコ)を助けて死んだというよりは、そういう結末に追い詰められてしまったという印象が強く(しかもレベッカも殺されますし)、流されたり巻き込まれたりした末の結果に見えてしまいました。悲しい話や破滅に向かう話は嫌いじゃないしむしろ好きなんですけど、デイビッドが色々なものに振り回されすぎているように見えるのが嫌な部分だったのだと思います。
ここまで述べた、CEのここが嫌だったなというポイントをまとめてみます。

  • デイビッドが得たものより失ったものの方が多いと感じたこと
  • デイビッドの行動原理に納得できなかったこと
  • デイビッドの行動に、本人の意思より他者の意思や思惑が介在し過ぎ、流された/巻き込まれた ように見えること
  • 上記の理由から、カタルシスが感じられないこと
  • レベッカが死んだこと

ここから、CEの良かったところを述べていきます。
まずはレベッカがマジで良いキャラということです。キャラデザがいい、可愛い、仲間を大事にする、(デイビッドを最後まで支えるレベルで)面倒見がいい、黒沢ともよさんの演技が死ぬほど上手い、といった特徴があります。この子は本当に最後まで面倒見が良く、妹ですが兄・姉ポジションの両キャラでした。もはやレベッカを見るためにCEを観ていたのかもしれない。ていうかキャラは全員良かったけど、個人的にはレベッカが頭ひとつ抜けていました。ちょっと贔屓されていたのではないかと思うレベルで活躍していた気がします。

作画良かったですね、個人的に好きなのはサンデヴィスタン使用時の演出です。
さすがTRIGGERさんです、エログロなのにエログロじゃないという矛盾。嫌さがないというか、独特なデフォルメでエロさグロさが楽しさとか妙な爽快感に変換されるような印象を受けました。悲劇的な脚本と相反する喜劇的な作画だったように思えますし、そういう部分での違和感に気持ちよさを覚える人もいただろうなと思います。音楽で例えると長調でハッピーなメロディなのに歌詞はバッド入ってるみたいな。
ただ僕は「TRIGGERは喜劇を作る」という先入観を持って観てしまっていたところがあり、そのせいで脚本を受け入れられなかったのかなと考えています。ただCEは原作側からの依頼ありきで脚本の大筋が用意されているだろうし、仕方のないことかもしれませんね。

音楽も良かったです。OPが特にお気に入りです。


今更ながらOP/EDの歌詞を調べてみたところ2曲とも結構ネガティブな内容だったので、そこからも色々推察できそうでしたね。
あとは原作未プレイということもあり、何も知らない状態スタートだったのも良くなかったかもしれません。感じ方が変わるかもしれないですし、機会があればプレイしてみようと思います。

批判的な内容の方が多くなってしまいました。ただ、自分がどういうお話を好まないのか考えられたのは良かったかなと思います。もう少し掘り下げられたらもっと良かったですが、また別の機会に考えてみることにします。