置いておいて

オタクの雑記です

天晴爛漫!が面白かった

最近、友人のおすすめで「天晴爛漫!」というアニメを観ました。基本的にPCをポチポチしながらアニメを観るのですが、これの最終回だけはPCに触らずじっくり観て泣きました。本当に良いアニメ。

初めに、本作に軽く触れつつ別のテーマについて少し書きます。というかそもそも最初はそっちの話で1つ記事を書こうと思っていました。

天晴爛漫!は、日本からアメリカに漂着した男2人(天晴と小雨)が現地で1人仲間を増やし(ホトト)、3人でアメリカ大陸横断レースに参加して、ライバル達とトラブルに巻き込まれながら時に助け合いゴールを目指す話です。
本作にはOP/EDにサラッと差し込まれる演出があり、それが小粋だなあと思っていて、このアニメを好きになっていきました。

OPの直前、イントロ頭のギターがチャラチャラ鳴っている間に、各キャラが勢いよく前話のあらすじを説明してくれます。そしてあらすじが終わるとすぐに金管楽器が入ってきてOPの映像に切り替わるのですが、この流れがクセになってきます。レースものらしく、疾走感のあるあらすじ説明からのOPで気持ちいい。強制的にワクワクさせられるような感覚すらある。
EDでは、サビ繰り返しの2回目を使って次回予告のモノクロ映像だけを少し流すという演出が入ります。

こういう特定パターンの演出がOPやED、もしくはその前後に差し込まれるアニメは他にもありますよね。これが好きだなと気付きました。という話を先にしたい。

例を挙げます。

おまもりひまり

OPイントロを原曲よりも長く繰り返してフェードインした後に本イントロが始まる回があります。ちなみにアニメ本編は可もなく不可もなしですが、OP担当のAyaRukaさんが歌う挿入歌とヒロインCVの小清水亜美さんが歌うEDのカップリング曲が爆裂良い。てかOPED含め全部いい。未だに聴いてる。EDは途中で明らかに音が途切れるという大胆すぎる構成のおかげで、界隈で悪い伝説になっています。

ケムリクサ

各話の終わり付近で本編映像にEDのイントロを被せてきます。このイントロが入るだけでグッと話が引き締まるような気がします。EDのボーカルが初音ミクなのは正解だったと思います。このアニメのEDにはそういう無機質さが必要だった。

巌窟王

EDのサビが終わって一瞬無音になった後すぐに後奏が始まり、それに合わせて次回予告をします。次回予告も最後に必ず言う特定のセリフがあり、ビシッと終わるので気持ちいい。

絶対他にもあるけど思い出せない。辛い。
こういう特定演出が作中で回収されたりするパターンとかもある気がするんですけど、そうなったら本当に狂っちゃうかもしれない。
そういうアニメをご存じの方はご共有ください。よろしくお願いします。

天晴爛漫!の話に戻ります。 上に「レースもの」と書きましたが、このアニメをレースものだと思って観るとおそらくつまらないです。レースにほぼ焦点が当たらないので。
このアニメは、レースの動きやマシンのギミックなどよりもキャラクター達の関係性を楽しむアニメかなと思いました。マシンのギミックに関してはレース同様ほぼ焦点が当たりません。車やエンジンやレースを観たい人には楽しめないはずです。
ちなみに、最初は主人公の天晴にあまり好感が持てませんでした。自分の気になったことを最優先し周囲の迷惑など顧みないというスタイルが、観る人によっては嫌悪感すら抱かせるかもしれません。というか実際にAmazonのレビューが荒れていました。でも、天晴は大陸横断レースの中で徐々に変わっていきます。行動する際の優先順位に自分以外の人を対象にしたものが入ってきて、天晴は戸惑いつつも自身の変化を受け入れる。自らの知的好奇心や欲求を満たすという目的で周囲を顧みずに動いていた人間が、徐々に「身内」と「身内の損得」を意識しだすのは野生の獣を手懐けるような快感があると思いませんか。そんな経験はないが。

このアニメに限らず、俺が物語の良さを語る上で「感情の動き」は重要な項目かなと思っています。それは自分の感情であったり、登場人物の感情の動きです。基本的には登場人物に感情移入したり、映像と音楽で巨大感情を自家栽培し、感情の動きをエネルギーとして快感を得るのが良いわけなんですが、その点において天晴爛漫!はかなり良かったなと思いました。上記で述べたようにOP前の演出で快感を得られましたし、キャラクター達を好きになったことで彼らに感情移入しやすくなった気がします。

俺は、天晴が「幸福」を得る手段を増やしたと感じたのかもしれないなと、今これを書きながら思いました。彼はもともと自身の欲求を満たす幸福を知っていました。そこからこの物語を通して、他者とつながる(相互理解や苦楽を共にする)幸福や、誰かに感謝される(する)幸福を知っていきます。天晴が今までキャッチできなかった幸福を受け止めることで、彼が感じる新しい幸福を共有してもらえるような気がしました。
そういう意味では、上記の幸福を知らない人も、このアニメを楽しめないかもしれません。

パロディがちょくちょくあるのも観ていて楽しかったです。魔女の宅急便までやるとは思わなかった。結構笑わせてもらいました。
追記
最終話で小雨が天晴号から身を乗り出してカーブするシーンのことです。魔女宅でも同じように地面スレスレまで体を傾けてカーブするシーンがあったので、それを思い出しました。これでパロディじゃなかったり別作品のパロディだったらごめんなさい。
追記終わり
そうやってキャラクター達が大好きになったところで話が終わると「頼むから終わらないでくれ」と思ってしまいます。別れが惜しいんですよね。でも物語にはどこかで区切りをつけるべきですし、そうしないと蛇足になってしまうので、終わらないで欲しいと思っているうちに良い区切りをつけて終わらせてくれたのも完璧だったなと思います。

以上、天晴爛漫!が面白かったよという話でした。
ここまで読んで下さってありがとうございます。